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感度90%のガン線虫検査


 ガンの有無を、尿1滴で8割以上の高確率で判定できるという新しい検査: N-NOSEが1月から上市されました。現在当院でも導入に動いておりますが、もう少し時間がかかりそうです。

線虫は犬より優れた嗅覚をもつと言われる微小生物で、がん患者の尿に含まれる特有のにおいに近づき、健康な人の尿ならを避けるという性質を利用して判定するとのことです。

注目すべきはその感度で、なんと*90%とのことです。*検査会社の公表値

たとえば代表的な腫瘍マーカーである「CEA」。検診セットに入っていることもあり、目にした事がある方も多いかも知れませんが、その感度は25.4%。素晴らしい数字です。

 しかし、感度が90%ということは「陽性になれば90%の確率でガンである」こととは違います。感度が90%ということは「ガンの人が100人いれば90人は陽性になる」ということを意味します。

反対の意味の言葉に特異度という言葉があります。この検査では特異度も90%という高い数字を誇っていますが、これは「ガンでない人が100人いれば90人は陰性になる」事を示しています。

 胃ガンの有病率は全年齢で概ね(10万人あたり:以下同)100人です。50-54歳では40人、85歳以上では380人ほどになります。※癌登録データより

10万人のなかに100人が本当にガンを持っているとして、感度、特異度ともに90%の検査したらどうなるかをみてみましょう。

ガンのある100人について:感度90%

真陽性:陽性に出る人の確率が90%ということは90%である90人は検査で陽性となります

偽陰性:10人はガンをもっていますが、検査では陰性になります

ガンを伴っていない9万9900人について:特異度90%

真陰性:陰性に出る人の確率が90%ということは90%である8万9910人は検査で陰性となります

偽陽性:9990人はガンをもっていませんが、検査では陰性になりますこれを図で示すとこのようになります。

これは赤ちゃんからお年寄りまで含む全年齢のデータです。健診で陽性になった人のうち、実際にガンを伴っている人は0.9%に過ぎません。

 ガンは高齢者に多くなるので、前述のデータを参照して85歳以上の場合を仮に400人として計算してみましょう。するとこうなります。

陽性適中率も概ね4倍に上がりましたが、それでも3.5%です。感度、特異度はどの集団でも変わりませんが、陽性/陰性適中率はその集団の中の割合が上がると陽性適中率は高く、陰性適中率は低く出ます。

 以上の結果を踏まえると、この検査はガンを見つけるための検査ではなく、ガンがないことを確認するための検査であるといえます。

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