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reducing medications

減 薬

減 薬

減薬といっても難しいのですが、なぜ病院(診療所)で出された薬を飲むのか?という事を考えてみましょう。

糖尿病を例に挙げてみましょう。

  • 糖尿病の人はどうして薬を飲むのか?

  • 症状があるから?

  • 血糖値が高いから?

  • 長生き出来ないから?

  • あとあと病気になって困るから?

 

糖尿病は血糖値が高くなる病気ですが、極端に高くなる例を除き、血糖値が少々高い程度では自覚症状はなく、ハッキリ言って何も困りません。

症状がない以上、糖尿病の治療の目的は『症状をなくすこと』ではありません。

しかし、血糖が高い状態が長く続くと、

網膜症=失明

腎症=透析

神経障害=足切断

といった困った症状が出てきます。

多くの医師(患者さんも)は目標を『血糖値を下げること』においていますが、当院では『死ぬまでに糖尿病の合併症で失明、人工透析、足の切断をさせないこと』を目標にしています。

血糖を下げるというのは手段であって目的ではありません。

 

このことは血圧、コレステロール値についても同じような事が言えます。

当院では目標を『数値をよくすること』に設定していません。

『お迎え(寿命)が来るまで致死的な合併症を来さないこと』に置いています。

ぶっちゃけ、『ワシはいつ死んでもええんじゃ』と言う人は症状を抑えるための薬(咳止め、痛み止めなど)は飲んでも、予防目的の薬(軽い高血圧、コレステロール、糖尿病など)の薬はいらないと考えています。

私は働き盛りの方には薬を減らすことをすすめませんが、高齢者の方は減らしても良い場合が多いと思っています。

それには理由があります。

高齢者は若者に比べ

1.残された寿命が長い

 →薬による寿命、生活の質改善の効果が薄い

2.多くの病気をもっているので、飲む薬の種類も多くなりがち

 →薬は多くなればなるほど相互作用が読みにくい

3.『病気の事は先生の方がよく知っているので、あれこれ言わず黙って薬を飲んでいれば良い』といった価値観をもっている方が多い

 →薬について調べたりする気力や手段が乏しい

といった特徴があります。

1.余命の長さ

週刊誌で『この薬はあぶない』系の記事に書いてあることは、このことを強調していないため、医師からの反発を招きやすいのではないかと思います。

30歳で糖尿病を発症し放置したAさんと、70歳で糖尿病を発症し放置したBさんを比べてみましょう。

 

上に書いた様な合併症が出てくるには時間がかかります。

糖尿病の診断=合併症で苦しむというわけではないのです。

85歳まで生きる事を目標とすると、30歳のAさんはあと55年、70歳のBさんはあと15年の時間があります。

Aさんは糖尿病を放置すれば、晩年に結構な確率で合併症に悩まされますが、Bさんはお迎えの方が先に来る確率が高いのです。

ただ、Bさんが120歳ぐらいまでお迎えが来なければ、合併症に悩まされる確率は85歳時点のAさんよりも高くなるでしょう。

100歳以上の長生きすることを目標にされるなら、薬もたくさん飲む必要があるかも知れません。

目標をどこに置くかはその人によって変わるのでなんとも言えませんが、高くすれば(長生きを目指せば)するだけ努力も必要です。

薬を飲むだけでなく、食事制限や運動などの努力も必要です。

そうやって制限を続けるとストレスが貯まります。

節制によって長生きした分だけストレスを受けている期間も長くなります。

また、長生きするだけ、知り合いも死んだり病気で会えなくなったりするので、私自身は長生きを目指してはおりません。

 

でも長生きしていれば子や孫が成長したりノーベル賞取ったりするのを見れるかも知れないので、診療に際しては患者さん個人の主観を大事にしています。

2.多種類の薬の飲み合わせ

私の友人で『高いエビは大丈夫やけど、安もんのエビは身体痒なるねん』という人がいます。

以下、私の推論ですが、高いエビは天然に近い状態で、安もんは養殖・薬漬けの状態だとしたら、問題はエビ単体ではなく、養殖・流通段階で使う消毒液・抗菌剤・防腐剤が原因ではと思います。

薬もたくさん使うとお互いに作用して飲み合わせで副作用が出ることが知られています。

有名なところでは血圧の薬(カルシウム拮抗薬)を使っている人はグレープフルーツを一緒に摂ると薬が効きすぎる、と言われています。

そういったことを防ぐため薬の飲み合わせに関して、Aという薬に対してBという薬を飲むと副作用が出る可能性がある、ということは、薬の使用説明書にも書いてあります。

しかし、3種類以上の飲み合わせに関して、『A、B、C、の薬を飲むと、副作用が出やすい』といった類いの話を、私は聞いたことがありません。

また、何種類ものお薬が胃の中で胃酸にさらされ、消化酵素で分解され、腸内細菌にもまれるうちに身体に悪い物質が生成されていても、私はあまり不思議に思いません。薬は少ないに越したことはない、と思うのはそのためです。

3.高齢者は医師の言いなりになる人が多い

若い人は自分の病気に対しても『良く知ろう』という気力が旺盛です。

受診する際も、自分に合う症状をまずネットで調べて『この病気では?』と半ば診断してから来られることも多い昨今のご時世です。高齢の方でネットで調べてから来院される方もおられますが、まだまだ少数派です。

昔は怖い先生も多く、『家庭の医学』で調べた事を先生に言おうものなら『生半可な知識で利いた風な口をきくな!』と一喝されても当然、といった空気がありました。

胃が痛い時に薬をもらったけど、今は治っていて別に胃も痛くないねん・・薬も飲んでへんけど、そのこと言うたら怒られるから先生に言わんと家に貯まってますねん・・という方も結構多いようです。

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