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ダイエット GLP1作働薬と生活習慣

まとめ

・太るということは、自分が適量と思っている食事量が理想とする体重を維持するには多すぎるという、飲み過ぎに似たミスマッチの結果である。

・GLP1作働薬はその副作用を利用して、食べ過ぎの習慣を改めることができる薬である。




 お酒を飲まれない方も、友人との会食等でお酒と接することがあります。


 アルコールは肝臓でアルコールデヒドロゲナーゼやアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼなどの酵素の働きによって分解されます。

また、これらの酵素の働きには個人差があります。


 お酒が弱い人はこういった酵素の働きが弱いか、全くないため、ある程度以上飲酒すると頭痛・吐き気などが前面に出ます。

さらには高次脳機能を司る前頭葉の抑制が取れるので、『言っちゃいけない』ことを言っちゃったりします。


 若いうちは自分の適量が分からないので、飲み過ぎたりする酒の上での失敗はよくある話ですが、年齢を重ね、経験を積むに従ってそういう失敗は減っていきます。

横でお酒を大量に飲んでいる人がいても自分はビール2杯が適量だと思えば、勧められても『いえ、結構です。』と断る事が出来るようになります。


 お酒に強い人はアルコールを分解する酵素が備わっているので、たくさん飲んでもさほど影響は出ません。

お金や仕事など、社会的制約がなければ純粋に多幸感を楽しむ事ができます。



体質的にお酒を飲む事ができる量は人によって違いますが、実際に飲むお酒の量はその人次第です。

いわゆる適量を知る、という事ができれば『オトナの飲み方』ができると言えます。




 お腹が空くと、誰でも食事を取ります。


 食事の栄養は胃腸で吸収され、肝臓などの臓器で分解され、取り込まれます。

これらの臓器の働きには個人差があります。


 痩せている人は、胃腸の働きが弱く食事を取る量が少なかったり、各臓器の機能障害のために栄養を取り込めないという人がいます。

こういう方は食べ過ぎると下痢したり、吐いてしまったり、特定のモノを食べると調子が悪くなったりします。


 小さいうちは代謝も良く周囲のオトナから『若いねんからもっと食べなあかんで!』とよく言われます。

成長して身体が大きくなるにつれ、食事量も増えていきます。

 普通の人は消化、吸収の機能に問題が無いため、たくさん食べてもさほど影響は出ません。

動けなくなるぐらい食べても、翌日にはまた、普通にお腹が空きます。

また、若い頃は代謝がよく、運動も活発にするのでたくさん食べてもたくさん消費します。

年齢を重ね、代謝が落ち、運動量が減るに従って筋肉量も減っているのに、若いと言われなくなくなっても若い頃と同じように食べていると、体重は増え気味になります。


 食べる量はその人によって違いますが、若い頃の体型を維持する事ができないと、『自己管理のできない人』と評価される国もあるそうです。

自己管理のできる人は横で大盛りをかき込んでいる人がいても自分は小盛が適当だと思えば、それ以上勧められても『いえ、結構です。』と断る事が出来るようになります。


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 当院ではGLP1作働薬を使ったメディカルダイエットを行っています。

いわゆる痩せホルモンという紹介をされていることもあります。


 一部のGLP1作働薬は消化管の動きを緩慢にする作用が強く出ます。

胃の動きがゆっくりになると、食べた物が胃から腸に排出されるまでの時間が長くなるので、胃に長時間とどまることになります。

そこで、胃もたれや胸やけ、便秘や下痢などの副作用が出ます。

一番大きな副作用は『食欲の低下』です。


 この薬を使うと、食欲そのものが減弱しますが、ムリして食べようと思うと食べられないこともありません。

しかし、胃の中に食べ物が残っている状態で口にモノを入れるので、『食べたすぎた後』に胸やけ、胃もたれが出て、気分が悪くなります。

ひどい場合は吐いてしまいます。


 太るということは、自分が適量と思っている食事量が、自分が理想とする体重を維持するには多すぎるからに他なりません。

酔うということは自分が適量と思っているお酒の量が、自分が理想とする満足感を達成するには多すぎるというのと同じです。


 繰り返しますが太るということは、『自分が適量と思っている食事量が、理想とする体重を維持するには多すぎる』という、飲み過ぎに似たミスマッチの結果起こります。



 ある種のGLP1作働薬を使うと、少し食べるなら問題ないが、たくさん食べると『食べたすぎた後に』気持ちが悪くなるという事が起こります。

これはある意味、少しなら酔わない人がたくさん飲むと酔ってしまう、という状態と同じで、それは必ず『飲みすぎた後』に出ます。


 この薬は気分良く食べられる量の限度を引き下げて、理想とする体重と食事量のミスマッチを防いでくれる薬です。

お酒を飲めない人が適量で飲むのを止められるように、自分で食事量を調節できるように学習させてくれる薬であるとも言えます。

理想とする体重以上の食事を取ると『食べた後に』気分が悪くります。

逆にいうと、食べ過ぎずにいれば、気分が悪くなることはありません。

そしてその経験を重ねると、より少なく食べる事を学習し、それは習慣になります。


 自分でその習慣を手に入れることもできますが、いわゆる我慢や努力といわれる精神力を必要とします。

GLP1作働薬だけでその我慢をしなくてよくなるわけではありませんが、相当減らしてくれます。

GLP1作働薬は生活習慣を変える力を持った薬であると言えます。



 この薬はそれなりに高価なので、『どれぐらいの期間で何キロぐらい痩せられますか?』と聞かれます。

非常に答えにくいのですが、『ムリしないなら月に体重の3%ぐらいぐらい』が目安と思います。

もっと早く痩せたいときは努力の量を増やすか、薬の助けを増やす必要があります。

こういう努力をするのはイヤという方もおられますが、ダイエット外来の最終的な目標は『クスリを使わずに減った体重を保つ』ことにあります。


一時的に体重を減らす薬もありますが、減った体重を保つには、今までの習慣を改める必要があります。

習慣ができるまでは3ヶ月ほどかかりますが、そこから先は習慣ができているのでリバウンドが起こりにくくなります。


 GLP1作働薬は生活習慣を変える力を持った薬です。


※一時的に体重を減らす薬に関しては後ほど書いてみようと思います。

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