B型肝炎ワクチンについて: 接種の流れと抗体の確認-医療従事者・医療実習者 向け
医療の現場では、針刺し事故などで血液に触れることがあります。
B型肝炎は、ワクチンで予防できる病気です。
このコラムでは、B型肝炎ワクチン接種の流れ、抗体の確認、針刺しのときの対応を、公的な資料の内容でまとめます。
1. ワクチンの効果
3回のワクチンで感染を防ぐ効果は、20年以上続くとされています。
40歳までに接種した場合、抗体ができる人は95%と報告されています。
抗体がつかない人もいるため、接種のあとに抗体を測って確認します。

2. ワクチン接種のスケジュール
ワクチン接種前の検査
HBs抗体とHBs抗原の血液検査を行います。
HBs抗原が陽性(+)→専門医の判断が必要となります。接種前に実習の相談窓口や病院担当者にご相談を
HBs抗原が陰性(ー)→HBs抗体が陽性(+)の場合はワクチン接種不要
HBs抗原が陰性(ー)→HBs抗体が陰性(ー)の場合はワクチン接種に進みます
ワクチン接種
医療従事者・実習者の場合
→1回目、4週間後に2回目、1回目から20〜24週間後に3回目を接種
血液による汚染事故のあと
→事故後7日以内に1回目、その1か月後と3〜6か月後に2回目と3回目を接種
が標準となります。
「0・1・6か月」は、添付文書で母子感染予防の場合に書かれた間隔です。医療従事者の標準は「0・4週・20〜24週」です。
接種後の検査
3回目を打ってから1〜2か月後に、HBs抗体を測ります。
抗体が10 mIU/mL以上なら、免疫ができたと判定します。
免疫ができたと確認できたら、その後の抗体検査や追加のワクチンは不要です。
3. 抗体がつかなかったとき
3回のワクチン接種を行った後の検査で、HBs抗体が10 mIU/mL未満のときは、次の順でワクチン接種を進めます。
ワクチンを1回追加し、1〜2か月後にHBs抗体を測ります。
まだ10 mIU/mL未満なら、ワクチンをさらに2回追加し、1〜2か月後にHBs抗体を測ります。
それでも10 mIU/mL未満なら、ワクチンが効きにくい人(ワクチン不応者)として扱います。血液に触れる事故のときは、特に厳重に対応します。
4. 針刺し事故や血液に触れたとき
まず、次の3つを行います。
作業を止め、傷口や汚れた部分をすぐに洗います。
責任者にすぐ報告します。
感染源の患者さんと自分の血液を検査し、感染の有無を確認します。
そのうえで、次にしたがって対応します。
ワクチン未接種の場合
感染源のHBs抗原:陰性→HBIGは不要。ワクチンを打ち切る
感染源のHBs抗原:陽性または不明→HBIGを1回注射し、ワクチンを打ち切る
HBIG:抗HBs人免疫グロブリン1000単位を筋肉に注射するものです。
できるだけ24時間以内、遅くとも48時間以内に行います。
3回接種後で抗体が10 mIU/mL未満の場合
感染源のHBs抗原:陰性→HBIGは不要。2回目のシリーズを始める
感染源のHBs抗原:陽性または不明→HBIGを1回注射し、2回目のシリーズを始める
HBs抗体が10 mIU/mL以上
感染源のHBs抗原:陽性でも陰性でも→特別な処置は不要
5. よくある質問
Q. 3回打てば、それで終わりですか?
A. 3回目の1〜2か月後に抗体を測ります。10 mIU/mL以上なら免疫ができたと判定し、その後の検査や追加の接種は不要です。
Q. 接種のあとに、どんな症状が出ますか?
A. 注射した場所の痛み、赤み、はれ、しこりが出ることがあります。熱が出ることもあります。まれに、じんましんや息苦しさが出る強いアレルギー反応(アナフィラキシー)が起きます。アナフィラキシーは、接種後30分以内に多く起きるため、接種のあと30分ほどは施設で様子を見ます。強い症状が出たら、すぐに医師の診察を受けます。
Q. 乳児期に打った記録はあるけれど、抗体の記録がありません。どうしますか?
A. HBs抗体を測ります。10 mIU/mL以上なら免疫ができていると判定します。10 mIU/mL未満なら、第4節の手順で追加のワクチンを打ちます。
6. まとめ
医療従事者の標準は「0・4週・20〜24週」の3回です。
3回目の1〜2か月後にHBs抗体を測り、10 mIU/mL以上なら免疫ができたと判定します。
10 mIU/mL未満なら、ワクチンを追加して測り直します。
乳児期に定期接種を受けた人も、抗体の記録がなければ測ります。
針刺しのときは、すぐに洗い、報告し、感染源と自分の血液を検査します。HBIGが必要かどうかは、上の表で判断します。
出典
「ヘプタバックス-II」「ビームゲン」ワクチンガイド(2026年9月作成)。作成は製造販売業者(MSD株式会社、KMバイオロジクス株式会社)で、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の添付文書情報に掲載されています。
日本環境感染学会「医療関係者のためのワクチンガイドライン(第4版)」。作成は日本環境感染学会です。本コラムでは、下の資料が引用した内容を確認しました。資料の表記は「日本環境感染症学会」です。
國島広之(聖マリアンナ医科大学感染症学講座)「血液体液曝露対策とワクチンプログラム」(院内感染対策講習会資料、厚生労働省サイト掲載)
B型肝炎ワクチン Q&A(2025年4月1日版)。作成は厚生労働省です。
「B型肝炎ワクチンの定期接種について」IASR Vol.37 p.156-157(2016年8月号)。国立感染症研究所の IASR 記事で、国立健康危機管理研究機構(JIHS)の感染症情報提供サイトに掲載されています。
https://id-info.jihs.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/6679-438r06.html























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